大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和35年(ラ)187号 決定 1964年1月29日

理由

原審が、申立会社には更生の見込がないと判断した理由は、相当であり、当裁判所もこれを是認するものであつて、これを左右する証拠はない。

抗告会社は、昭和三五年三月以来四カ月間の生産実績を云々するが、抗告会社主張のとおりの生産実績があつたことを認めるに足る証拠はないのみならず、一件記録によれば、抗告会社の破綻の最大の原因は、急激な施設の拡張に伴う生産の増大と販売網の拡大とが一致しなかつた点にあり、抗告会社は自力で販売網を切りひらきこれを拡張するのに未熟であつて、「売つたのではなくして、呉れてやつたのだ」と一部から批判されるような無謀な販売を続けた結果、売掛金の焦げつきとなつて、生産販売高は増大したが、掛売金は実質的に殆んど回収されないというような状況に立至り、東芝松下等の大企業との販売競争に破れたのであるから、その生産設備が相当大きいものであるということが、直ちに更生の見込があることの理由とならないことは明らかであり、更生手続開始となれば数カ月にして抗告会社の生産設備が全稼働するような状態になることを認め得る証拠はない。

また、抗告会社の更生の見込の有無について、原審の示した判断は相当であつて、さらに、抗告会社主張にかかるその総合的生産要素の検討、収益力の調査をしなければ、抗告会社更生の見込の有無について判断ができないものではなく、抗告会社主張の下請契約や租税の支払に関する原審の判断も首肯できるものであり、経営に豊かな経験を有する管財人を選ぶという点を考え合せても更生見込なしとの結論に誤りはなく、記録を精査しても、抗告会社には更生の見込がないものと認められ、これを左右する証拠はない。

よつて、その余の点について判断するまでもなく抗告人の主張は理由がなく、原決定は相当であるから、本件抗告は理由がないものとして棄却。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例